September 2015: Southern Thailand

柴山 信二朗

 

1) NSC事務局長人事
2) エラワン廟爆弾事件と深南部紛争
3) ワンカディール 元Beru satuリーダーの見解
4) アブドル・カーリム氏のビデオ・メッセージ
5) 非公式和平対話の状況
6) 連続爆弾事件
7) ダート・ターナーム氏の釈放
8) イマーム・ヤパ事件

1) NSC事務局長人事

9月末のアヌシットNSC事務局長退職後の後任として、10月2日からタウィープ陸軍大将 が同役職に就く。

2) エラワン廟爆弾事件と深南部紛争

エラワン廟爆弾事件との関わりで、ナラティワート県スンガイコーロック郡居住のムスリムが拘束され、バンコクに移送された。別の容疑者もナラティワート県で拘束されている。

3) ワンカディール 元Beru satuリーダーの見解

5日報じられたところによると、Bersatu元リーダーのワンカディール ・チェマーン氏は、マーラー・パタニー は全ての武装勢力グループを代表しているわけではないので、和平対話に期待してはいけない、とした。

同氏はマーラー・パタニー代表団7人のうち6人を知っているとし、これらの人物は本物の武装勢力であるが、深南部で現在活動 をしている武装勢力グループには影響力を持たないとし、タイ政府は深南部で活動をしているグループに影響力を持つグループと非公式に対話を持つべきである、とした。

また、マレーシアが仲介している和平対話は20年続いているが、深南部紛争問題は解決されることなく、むしろ悪化しているとし、マレーシアのファシリテーターとしての役割に疑問を呈した。そして、マレーシアは部外者であり、交渉人としてはタイ人を選出するべきである、とした。

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4) アブドル・カーリム氏のビデオ・メッセージ

8日、BRNのアブドル・カーリム氏がメッセージをユーチューブで流した。6分間のビデオ・メッセージの中で、同氏は、BRNは現在進行中の和平対話を認めていない、とした。

5) 非公式和平対話の状況

11日、和平対話についてのNSCとの会合を終えた後、和平対話の進展は遅々としているが、いずれ成果をあげるだろう 、とプラユット首相は述べた。武装勢力には複数のグループがあり、要求事項に関してこれらグループ内で合意を形成するのに時間がかかるためである、とした。NSCとの会合は、9月末までに 正式な和平対話の開催を実現させるためのものだった(註:タイでは9月末に年度がかわり、軍の人事異動も10月1日付けで行われるためである)。 和平対話をナショナル・アジェンダにするというマーラー・パタニーの要求事項に関して、和平対話は暴力事件を終わらせる9つの戦略の1つとしてナショナル・アジェンダの一部である、とした。

また、ナラティワート県ランゲ郡で発生した連続爆弾事件の翌日、ウドムデート陸軍司令官は、暴力事件が悪化することを望んではいないが、和平対話の前提となるタイ政府、武装勢力間の信頼構築には時間を要する、と述べた。

一方、今月30日に陸軍を退役する 予定のアックサラー和平対話政府代表団代表は、退職 後も代表団代表として継続して任務にあたる。バンポットISOC報道官によると、同件は2015年9月21日付首相府令第259/2558号により既に確定済であるという。

6) 連続爆弾事件

17日夜、ナラティワート県ランゲ郡で、8回にわた って爆弾が爆発し、一般人3人と兵士1人が死亡、13人が負傷した。連続爆弾事件翌日に会見をおこなったウドムデート陸軍司令官は、当局は深南部の治安状況をしっかりとコントロールしている、と述べた。

7) ダート・ターナーム氏の釈放

19日、PULO元リーダーの1人で、先日釈放されたサマエー・ターナーム氏の兄弟であるダー オ・ターナーム氏が釈放された。同氏は約17年間収監されていた。

治安機関によると、サマエー・ターナーム氏、ダー オ・ターナーム氏および同じくPULO元リーダーであり、両氏に先立って釈放されていたブードー ・ベートン氏の釈放は、和平対話へ向けた措置である。釈放後、サマエー・ターナーム氏と同様にダー オ・ターナーム氏は武装勢力グループとの交渉において仲介者としての役割 を担うことが期待されている。

8) イマーム・ヤパ事件

22日、2008年4月にナラティワート県ルーソ郡で、勾留中の拷問により殺害されたイマーム・ヤパの事件に関して、タイ国家汚職追放委員会(NACC)は同氏殺害容疑がかけられている兵士1人に対して法的処置をとることを促した。2008年12月にナラティワート県裁判所は、イマーム・ヤパは兵士の虐待により殺害されたとの判断を下していた。

モニター: 柴山信二朗
01 October 2015

 

註:上記内容は主に以下のWEBサイトの記事等を参考に、筆者が編集した。

Bangkok Post (http://www.bangkokpost.com/)
Deep South Watch (http://www.deepsouthwatch.org/)
Deep South Journalism School (http://www.deepsouthwatch.org/dsj)
Isra News Agency (http://www.isranews.org/)
Matichon Online (http://www.matichon.co.th/)
National News Bureau of Thailand (http://thainews.prd.go.th)
The Nation (http://www.nationmultimedia.com/)