March 2015

1) MILF構成員、次期統一選に向け有権者登録
2) 基本法案、4月6日から集中審議へ。一部条項削除の可能性も
3) ARMM知事、避難住民の食料支援を呼び掛け
4) 大統領信任率、就任以来最悪の36%に落ち込む
5) 国軍、BIFF掃討作戦6月まで継続へ
6) MILF、調査報告書で警察の責任を強調
7) 日本政府、和平支援事業6案件に調印

1) MILF構成員、次期統一選に向け有権者登録

 マギンダナオ州スルタンクダラト町で7日、反政府武装勢力モロイスラム解放戦線(MILF)の構成員と家族ら数百人が、次期統一選(2016年5月予定)に向けた有権者登録を行った。政府とMILFは、次期統一選での新自治政府のバンサモロ議会選挙の同時実施を目指している。

 中央選管が同町ダラパナン村にあるMILF拠点前に出張し、同日午前9時から登録を開始。長い間登録してこなかった構成員や、今回が初めてという家族らが列を作った。

 MILFの軍事部門、バンサモロ・イスラム軍(BIAF)のアルハク広報担当は「我々が新自治政府運営を準備する上で必要なプロセス。人生の中で極めて重要なイベントだ」と意義を説明した。中央選管認定のカトリック系選挙監視団体「責任ある投票のための教区司祭評議会」(PPCRV)のデビリヤ議長も「有権者登録は、MILF構成員たちを国の選挙制度に統合する第一歩となる。(和平実現という)希望への道具であり、皆同じフィリピン国民として政府がMILFを歓迎することを示す」と述べ、和平プロセスの推進を強調した。

2) 基本法案、4月6日から集中審議へ。一部条項削除の可能性も

 下院特別委員会のロドリゲス委員長は11日、バンサモロ基本法案について聖週間休み明けの4月6日から16日かけて集中審議を行い、休会明けの5月4日に本会議に上程する見通しを明かにした。5月下旬から6月中旬にかけて上・下両院本会議で可決し、大統領の署名に回す予定だが、当初の目標である3月可決・成立からは大幅に遅れた。

 基本法案は、国家警察とMILFの大規模交戦で68人が死亡したテロリスト追跡作戦を受け、審議が中断中。ロドリゲス委員長は、選挙関連行政や監査、汚職事件の捜査・訴追、人権保護、警察行政などを担当する新自治政府の独自組織について、共和国憲法が定める条項に違反する恐れがあるとし、一部条項を削除する考えも示している。MILFが法案内容の修正、削除に強く反対する一方、大規模交戦を機に一部国会議員の中でMILFに対する不信感が高まっており、基本法案の不成立も視野に入れた和平再交渉の覚悟を促す声も出ている。

3) ARMM知事、避難住民の食料支援を呼び掛け

 ムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)のハタマン知事は15日までに、MILFとMILFから分派した反政府武装組織バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)の交戦、および国軍のBIFF掃討作戦の影響で避難を余儀なくされた住民の食料支援に対し、毎週1200万ペソの経費を捻出していると述べ、支援維持のため民間団体や市民に寄付を呼び掛けた。

 ARMMによると、戦闘の影響を受けている11町からの避難住民は約1万4500世帯、約7万3千人に上る。1日2回の食料パック配給のほか、医療支援も行う。

 また、コタバト州政府は、住民が避難所に連れてきた水牛や牛、ヤギなど家畜が、避難所周辺で病気にかかったり、死ぬことのないよう、獣医による検査、ビタミン剤の支給を行っている。家畜は住民にとって生計の柱であり、帰宅後の生活に重要な役割を担っているため。

4) 大統領信任率、就任以来最悪の36%に落ち込む

 民間調査機関パルスアジアは17日、大統領信任に関する世論調査結果を発表した。アキノ大統領の信任率は就任以来最悪の36%に急落。警官44人を含む68人が死亡したテロリスト追跡作戦をめぐり、停職中だったプリシマ前国家警察長官が作戦に関与していることを容認していたことなどから、大統領の責任を追及する声が高まっており、世論調査に影響したとみられる。

 調査は同作戦から5週間後の3月1〜7日に、18歳以上の成人1200人を対象に行われた。

2014年11月の前回調査56%から、20ポイントの大幅減となり、不信任率も前回から14ポイント増の27%に悪化した。

5) 国軍、BIFF掃討作戦6月まで継続へ

 国軍のカタパン参謀総長は23日、首都圏タギグ市の陸軍本部で開いた記者会見で、反政府武装組織バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)に対する掃討作戦を6月ごろまで継続する方針を明らかにした。国軍発表によると、2月下旬にマギンダナオ州で始まった掃討作戦では、16日までにBIFFメンバー104人と国軍兵士6人が死亡した。しかし、国軍が確認したBIFF側の遺体は4人のみ

6) MILF、調査報告書で警察の責任を強調

 国家警察特殊部隊の隊員やMILFの構成員、民間人の計68人が死亡した1月のテロリスト追跡作戦をめぐり、MILFは24日調査報告書を公表した。作戦について事前通告がなかったため大規模な交戦が発生したと主張、交戦は「自衛のための正当な戦闘」で、通告なしにMILF領域に入った特殊部隊側に責任があると強調した。

 報告書は35ページ。22日、国際監視団(IMT)に提出され、翌23日には上院公共秩序・危険薬物委員会のポー委員長にも提出された。

 報告書によると、特殊部隊と交戦したのは、MILF第105、118部隊に属する戦闘員100人以上。特殊部隊の一部隊員が虐殺されたとの指摘に対しては、「地理に詳しく、人数で上回っていたMILF部隊は優位にあったが、不必要な武力行使は控えた」と反論した。

 逆に、就寝中のMILF戦闘員4人や民間人が特殊部隊に射殺されたことを明らかにし、「政府側が殉職警官らのために正義を追求するならば、MILFは無抵抗な状態で殺害された戦闘員らのため正義を求める」と強調した。

 テロリスト追跡作戦の標的となったマレーシア人容疑者らの潜伏地については、「MILF領域から3キロ程度、離れた場所にあった」と説明し、MILFが組織的に容疑者らをかくまっていたとの疑惑を否定した。一方で、容疑者らの存在を察知できず、領域近くでの潜伏を許したとして、第105、118両部隊の指揮者らを処罰する方針を示した。

7) 日本政府、和平支援事業6案件に調印

 石川和秀駐フィリピン日本大使は24日、首都圏パシグ市で、日本政府の南部和平プロセス支援事業「復興と開発のための日本バンサモロ・イニシアチブ(J-BIRD)」の新事業6案件(総額56万131ドル、約6700万円)に調印した。いずれも無償資金協力。

 6案件は、①南コタバト州タンタガン町における初等・中等学校の教室整備計画、②コタバト地域医療センターにおける助産施設・医療機材整備計画、③コタバト州アラマダ町における中等学校教室整備計画、④コタバト州キダパワン市における小学校教室整備計画、⑤スルタンクダラト州バグンバヤン町の農家のための収穫前後施設建設計画、⑥農作物輸送用車両整備計画。

 また石川大使は26日にも、首都圏パサイ市のフィリピン外務省で、デルロサリオ外務長官と円借款2件と無償資金協力4件、最大214億100万円の事業に関する書簡を交換した。

 このうち、紛争地域で農村から市場につながる道路および橋の整備・建設を行う無償資金協力「ミンダナオの紛争影響地域におけるコミュニティ開発計画」(供与限度額11億1700万円)はJ-BIRDの一環。

 日本政府は2006年、教育、医療・保健、インフラ整備を中心に資金協力で和平プロセスを側面支援する目的でJ-BIRDを立ち上げた。同年から国際監視団(IMT)に専門家1~2人を派遣しているほか、09年からは国際コンタクト・グループ(ICG)に参加している。

 

日刊『まにら新聞』(http://www.manila-shimbun.com/
Minda News(http://www.mindanews.com/) 
Daily Inquirer(http://www.inquirer.net/
Philippine Star(http://www.philstar.com/
ABS-CBN News(http://www.abs-cbnnews.com/
GMA News Online(http://www.gmanetwork.com/news/
Manila Bulletin(http://www.mb.com.ph/

フィリピン在住 大矢南
Mindanao, March 2015

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