July 2015

1) バシラン州幹線道で爆発、ARMM知事狙いか
2) スル州、サンボアンガ市でも爆発、1人死亡、14人負傷
3) 大量虐殺事件の主犯格容疑者、元州知事が死去。74歳
4) 大統領、「基本法成立に全力尽くす」。MILF議長に電話で確約
5) 大統領施政方針演説、130分のうち基本法案への言及わずか3分
6) 基本法案の下院審議4日から再開へ、上院は代替法案まだ出ず
7) 移行委員会、特別委員会による修正法案を拒否する決議案提出

1) バシラン州幹線道で爆発、ARMM知事狙いか

 15日朝、バシラン州ティポティポ町の幹線道路沿いで手製爆弾が爆発した。死傷者は出なかった。爆発の30分前にムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)のハタマン知事が乗った車列が現場を通過していたことから、国軍・警察は同知事を狙った犯行の可能性を含め捜査している。

 同知事は同州北部で進行中のインフラ事業を視察するため、移動中だった。知事の車列を警護するため、国軍部隊が道路に配備されていたこともあり、部隊を狙った可能性もあるという。爆発を受けて駆けつけた国軍の爆弾処理部隊は、現場から数メートル離れた場所でも他に2つ、不発の手製爆弾を発見、その場で処理した。爆弾は81ミリ迫撃砲を使用し、携帯電話で起爆する仕掛けだった。

 同州出身のハタマン知事は一族が州政治に活発に参加しており、イスラム武装グループ、アブサヤフに狙われてきたことから、国軍・警察はアブサヤフの犯行とみている。

2) スル州、サンボアンガ市でも爆発、1人死亡、14人負傷

 18日午後7時半ごろ、スル州ホロ町ブスブス村で駐車中のオートバイに仕掛けられた手製爆弾が爆発し、近くにいた2歳の男児を含む4人が負傷した。23日午後9時45分ごろには、サンボアンガ市内のカラオケ店内でも手製爆弾が爆発。女性店員1人が死亡、他の店員や客10人が負傷した。国軍・警察は、国軍や警察部隊との交戦で構成員を失ったアブサヤフによる報復攻撃とみて調べている。

3) 大量虐殺事件の主犯格容疑者、元州知事が死去。74歳

 2009年11月にマギンダナオ州で起きた大量虐殺事件で、自治体や報道関係者ら計58人を虐殺したとして殺人罪で起訴されたアンダル・アンパトゥアン同州元知事が17日、首都圏ケソン市内の病院で死去した。74歳だった。

 事件直後、元知事宅付近に埋められたライフル銃など大量の銃器と実弾が発見され、主犯格の1人とされていた。2010年1月に始まった公判では、事件から5年以上たった現在も、約450人いる証人尋問の約半数しか終わっていないほか、起訴された194被告のうち88人が現在も逃亡中。証人の殺害事件も相次いでおり、遺族や国際人権団体は公判の迅速化と正義の実現を訴え続けている。

 デリマ司法長官、バルテ大統領報道官補ともに、元州知事死去後も当人に対する公判の継続と審理の迅速化に務めると述べた。

 元州知事は末期の肝臓がんで、6月初旬、首都圏タギグ市の国家警察の拘置施設から、ケソン市内の病院に移送されたが、今月14日に危篤状態になった。同事件で起訴されたダトゥウンサイ町のアンダル・アンパトゥアン町長=当時=やARMMのサルディ・アンパトゥアン知事=当時=の父親で、2001〜09年にマギンダナオ州知事を務めた。

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4) 大統領、「基本法成立に全力尽くす」。MILF議長に電話で確約

 イスラム教徒の断食月「ラマダン」明けの17日、アキノ大統領がモロイスラム解放戦線(MILF)のムラド議長に電話をかけ、バンサモロ基本法成立に向けて全力を尽くすと確約した。同議長が同日、マギンダナオ州にあるMILF拠点で記者団に明かした。

 ムラド議長は「大統領は任期終了までの期間、基本法成立へ向けて国会議員が動く方法を模索すると確約してくれた」と語り、国会審議の行方に期待を示した。

 さらに同議長は「法案は和平実現への好機になる。各議員が最終的にそう認識すると信じている」と述べ、現政権の任期内に成立しなかった場合は、次期政権でも法案の重要性を訴え続ける意向を示した。

5) 大統領施政方針演説、130分のうち基本法案への言及わずか3分

 27日、アキノ大統領が首都圏ケソン市の下院で任期中最後の施政方針演説を行った。例年よりも長い計130分間の演説の大半が閣僚への謝意表明に割かれ、国会での迅速な審議が望まれるバンサモロ基本法案への言及はわずか3分にとどまった。

 演説開始から約90分後、大統領は「最も重要なのはバンサモロ基本法案である。反対している人々は、より良い代案を提示するべきだ。それができないのであれば、変革が起こらないように保証しているのも同然。ムスリム・ミンダナオの壊れた現状を変革しなければならない義務に全員が気付くまで、あと何人の国民の命を犠牲にする気か」と訴えた。この後、現政権の現金支給事業の受給者となった南ラナオ州の学生と、MILF正規部隊構成員とその家族に対する現政権の生活向上事業の受給者になった構成員の話しを紹介する動画が流された。

6) 基本法案の下院審議4日から再開へ、上院は代替法案まだ出ず

 バンサモロ基本法案を審議する下院特別委員会のロドリゲス委員長は28日、会期末の6月10日に一端打ち切りとなった同法案の本会議審議を8月4日に再開すると述べた。一方、バンサモロ移行委員会(BTC)と大統領府が提出した原案に憲法違反が含まれるなどとして、代替法案の提出を宣言してきた上院地方自治委員会のマルコス委員長は、27日の国会再開時に代替法案を提出しなかった。同委員長は草案作成に時間がかかっており「来週か再来週になるだろう」との見通しを明らかにした。

 政権が変わるたびに和平交渉が振り出しに戻ってきた経験から、立法措置によってアキノ政権終了後も包括的和平合意の実施に法的拘束力を持たせることが基本法案の狙い。MILFのムラド議長は、現政権任期内、2016年6月までの法成立を訴えている。

 これに対し、マルコス委員長は「現政権任期内の可決は可能だろうが、住民投票、新自治政府の選挙、最高裁での違憲訴訟があることを考えると、法律の施行は難しいだろう」との私見を示した。

7) 移行委員会、特別委員会による修正法案を拒否する決議案提出

 バンサモロ移行委員会(BTC、イクバル委員長)は29日、下院特別委員会審議での修正を経て本会議に上程された法案を拒否し、BTCと大統領府が提出した原案を審議するよう求める決議案をベルモンテ下院、ドリロン上院両議長に提出した。

 BTCは決議案で、下院特別委員会が5月20日に可決した修正案について、原案から修正・変更された28カ所を明示し、「(政府との)和平枠組み合意および包括的和平合意に反するものだ。原案こそが両合意に沿い、大統領府と国民との正式な協議をへたものだ」と指摘した。

 上院地方自治委員会でも、マルコス委員長が原案の審議を拒否しており、代替法案の草案を作成中。

註:上記内容は主に以下の現地報道機関のウェブサイトの記事を参考に、筆者が編集した。

日刊まにら新聞(http://www.manila-shimbun.com/
MindaNews(http://www.mindanews.com/) 
Philippine Daily Inquirer(http://www.inquirer.net/
Philippine Star(http://www.philstar.com/
ABS-CBN News(http://www.abs-cbnnews.com/
GMA News Online(http://www.gmanetwork.com/news/
Manila Bulletin(http://www.mb.com.ph/
Rappler (http://www.rappler.com/)
The Manila Times (http://www.manilatimes.net/)
Business World (http://www.bworldonline.com/index.php)

フィリピン在住 大矢南
Mindanao, July 2015

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