年表:フィリピン南部の紛争

作成:石井正子(2015年10月現在)

1968.3:ジャビダ事件発生。軍事訓練を受けていたムスリム青年最大70名が殺害

1970前後:モロ民族解放戦線(MNLF)結成。分離独立運動を展開

1976.12:マルコス政権とMNLF、トリポリ協定に署名。トリポリ協定に至る過程でMNLFは闘争の要求を独立から自治権確立に変更

1977.5:イスラム諸国会議機構(OIC)、MNLFにオブサーバーの地位を与える

1977 :マルコス大統領と議会は自治地域設立のための法整備に動く。その結果、1979年に政権、南部の2地域に自治地域設立。MNLFは否認

1984 :モロイスラム解放戦線(MILF)、MNLFより正式に分派(実質的には1977年より分派)

1986.5:コラソン・アキノ大統領、ホロ島(スル州)でMNLFのヌル・ミスアリ議長と会談

1987.1:アキノ政権とMNLF、ジェッダ合意に署名。ミンダナオ、バシラン、スル、タウィタウィ、パラワンに完全な自治を付与することを継続協議することで一致

1990.2:アキノ政権、南部の4州にムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)設立。MNLF、MILFは否認

1991頃:アブサヤフ(Abu Sayyaf Group)結成

1996.9:ラモス政権とMNLF、最終和平合意(Final Peace Agreement)に署名。MNLFのミスアリ議長がARMMの知事に就任

1006.10:ミスアリ議長、南部フィリピン平和開発評議会(SPCPD)の議長に就任

1997以降:政府軍とMILFとの戦闘発生。以後、戦闘と和平交渉を繰り返す

2000.3:エストラダ大統領「全面戦争宣言」。MILFの最大基地を攻撃。国内避難民100万人発生

2001.4:MNLF幹部15名が中心となり「15エグゼクティブ・カウンシルExecutive Council of 15 (EC15)」とよばれる指導体制を結成。EC15は、ミスアリを「名誉議長Chairman Emeritus」とよび敬意を表したが、ミスアリ議長は受け入れず

2001.6:アロヨ政権とMILF、トリポリ和平合意に署名

2001.8:MNLF、ARMM住民投票の実施を2003年に延期することを希望。受け入れられず、住民投票が実施され、のちに5州1市にARMMが設立

2001.11:ホロ島とサンボアンガ市でMNLFミスアリ派600人ほどが政府軍施設などを攻撃。死傷者多数発生。

2002.11: MNLFミスアリ議長、上記の蜂起を扇動した容疑でマレーシアにて身柄拘束。翌年1月にフィリピンに身柄移送、のち拘禁

2003.2:政府軍、アメリカ指定のテロ組織「ペンタゴン」を攻撃するとの理由で、MILFの最大拠点を攻撃。国内避難民40万人発生

2003.7:MILF創設者ハシム・サラマト死亡。翌月、ムラド・イブラヒムに選出

2008.4:MNLFのEC15派がムスリミン・セマを議長に選出。ミスアリ派は否認

2008.4:ミスアリ初代議長、保釈。のち無罪放免

2008.8:アロヨ政権とMILFとの間で署名される予定であった「先祖伝来の領域にかんする合意書(MOA-AD)」に対し最高裁判所が一時差し止め命令を発令、のち違憲と判断。武力衝突拡大。国内避難民60~75万人発生

2009.11:翌年5月の総選挙におけるマギンダナオ州の知事選をめぐって「マギンダナオ虐殺」発生。57名殺害

2010.8:東京近郊でベニグノ・アキノIII大統領とMILFのムラド議長が会談

2010.12:バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)、MILFから分派

2012.10:アキノIII政権とMILF、最終和平までのロードマップを記したバンサモロ枠組合意(FAB)に署名

2012.12:新自治政府の組織法案を策定するバンサモロ移行委員会(BTC)設立

2013.2:「スル王国軍」を名乗る勢力がマレーシアサバ州ラハダトゥでマレーシア治安部隊と衝突

2013.2:アキノIII政権とMILF、移行期の取り決めと措置に関する付帯文書に署名

2013.7:アキノIII政権とMILF、歳入創出と富の分有に関する付帯文書に署名

2013.9:サンボアンガ市においてMNLFと政府軍の衝突。戦闘はバシラン島にも拡大。死傷者数200人以上、国内避難民11万人以上

2013.12:アキノIII政権とMILF、権力分有に関する付帯文書に署名

2014.1:アキノIII政権とMILF、正常化に関する付帯文書に署名

2014.1:アキノIII政権とMILF、バンサモロ海域と相互協力ゾーンに関する追補合意に署名

2014.3:アキノIII政権とMILF、バンサモロ包括的合意(CAB)に署名

2014.4:バンサモロ移行委員会、バンサモロ基本法案(BBL)を策定

2014.9:バンサモロ基本法案、議会に提出

2015.1:ママサパノ事件発生。国家警察特殊部隊44人を含む60名以上が死亡

2015.4:BIFFの指導者アメリル・オムブラ・カト、死亡

2015.5:下院特別委員会、バンサモロ基本法案(HB4994)の代替法案(HB5811バンサモロ自治地域基本法案)を可決、下院本会議に提出

2015.8:上院地方自治委員会、バンサモロ基本法案(SB2408)の代替法案(SB2894バンサモロ自治地域基本法案)を可決、上院本会議に提出

2015.9:MILF、代替法案は受け入れられないとの声明

2015.10:上院・下院本会議で代替法案を審議中

作成:石井正子

地図:「バンサモロ政府」設立の是非を問う住民投票を実施が予定されている地域 グレーで塗りつぶされた地域(中心領域)を中心にバンサモロ政府設立の是非を問う住民投票が実施される。 出所:International Crisis Group (2012b), “The Philippines: Breakthrough in Mindanao,” Asia Report No. 240. 5 December. International Crisis Group.

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