August 2014

1) 基本法案提出遅延「武力闘争再開も」
2)「MILFが市内で資源調査」サンボアンガ市長が不満表明
3) BIFFが国軍部隊襲撃
4) MILF部隊長父子、内部対立で殺害される
5) MNLF初代議長、スル州に潜伏
6) 基本法案の国会提出、9月に持ち越し

1) 基本法案提出遅延「武力闘争再開も」

 反政府武装勢力モロイスラム解放戦線(MILF)とフィリピン政府の包括和平合意に基づく、バンサモロ基本法案の国会提出が遅れている問題で、MILF側和平交渉団のイクバル団長は3日、ラジオ局の取材に対し、「MILF執行部は和平路線を維持するため最善を尽くすが、さらに遅れると、武力闘争を再開しようとする構成員がウイルスのように増えるだろう」と語った。

 両交渉団は新自治政府バンサモロの創設を柱とする基本法案の年内の国会可決・成立を目指しているが、法案の内容をめぐり協議が難航しており、国会提出が大幅に遅れている。

2)「MILFが市内で資源調査」サンボアンガ市長が不満表明

 サンボアンガ市のサラザール市長は4日、MILFとみられる一団が同市内に入り、市当局に無断で鉱物資源調査を行ったとして不満を表明した。

 市長によると、一団は7月31日に同市バルノ村を訪れ、鉱物資源のサンプルを採取して去った。市長はデレス大統領顧問(和平問題担当)に報告、適切な対応を求めると共に、「サンボアンガ市は政府、MILFが合意した新自治政府『バンサモロ』の領内には組み込まれない。いずれの側も合意を尊重して行動してほしい」と話した。

 同市では2013年9月、政府とMILFの和平プロセスに反発する反政府武装組織、モロ民族解放戦線(MNLF)初代議長派が民間人多数を人質にして市街地を1カ月以上にわたり占拠する事件が発生。軍・警察と激しい銃撃戦になり、民間人12人を含む約230人が死亡した。1万棟を超える民家、建物が放火や砲撃などによる被害を受け、事件から約1年が経過した現在も、1万5千人以上が避難生活を強いられている。市保健局によると、8月までに避難所や仮設住宅で死亡した住民は155人に上り、うち77人が5歳以下の子ども。衛生環境の悪さから肺炎などの病気が広がっており、遅々として進まない政府、市当局の移住計画や避難者支援を問題視する声が上がっている。

3) BIFFが国軍部隊襲撃

 マギンダナオ州ダトゥピアン町マガスロン、ブアヤン両村で12日午後10時ごろ、MILFの離脱者らで構成される武装組織、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)の構成員約100人が国軍部隊の駐屯所を相次いで襲撃した。交戦になったが、死傷者は確認されていない。

 8、9両日にも同州の2町で国軍とBIFFとみられる武装集団が交戦となり、武装集団側の4人が死亡した。国軍は12日の襲撃について、構成員4人の死亡を受けた報復攻撃だとの見方を示した。一連の交戦で、3千人を超える住民が非難を余儀なくされた。

4) MILF部隊長父子、内部対立で殺害される

 マギンダナオ州スルタン・サ・バロンギス町トゥガル村で20日正午ごろ、オートバイに相乗りしていたMILF部隊長の男性と村長を務める息子が武装集団に襲撃され、死亡した。国家警察同州本部は、武装集団を、土地や地元政治をめぐり部隊長親子と対立してきたMILFの別の部隊長とみて捜査している。

 MILF停戦調整委員会(CCCH)によると、MILF中央委員会は事件を受け、21日に同州スルタンクダラト町にある本部に双方の部隊関係者を集め、問題解決に向けた緊急会議の開催を決定した。

5) MNLF初代議長、スル州に潜伏

 MNLF初代議長派によるサンボアンガ市街占拠事件(2013年9月)で、反乱罪などで逮捕状が出ているミスアリ初代議長が、スル州に潜伏していることが28日までに分かった。MNLF関係者が明かした。

 同関係者によると、初代議長は24日、同州パナマオ町ランパヤグ村で自身が呼び掛けた集会に姿を現し、構成員約2千人の前で「ミンダナオ地方とパラワン州の分離・独立」をあらためて呼び掛けたという。

 一方、ガスミン国防長官は、すでに国軍部隊が潜伏先のホロ町で包囲を固めており、初代議長逮捕に向けて武力衝突回避の方法を探っていると話した。

6) 基本法案の国会提出、9月に持ち越し

 MILFと政府の包括和平合意に基づくバンサモロ基本法案の国会提出が遅れている問題で、両交渉団は31日までに最終案で合意に至ることができず、国会提出は9月へ持ち越しとなった。年末までの実質的な国会会期日は残り50日を切っており、政府が目指す年内可決・成立、アキノ大統領任期終了までの新自治政府設立と最終和平達成が危ぶまれている。

 両交渉団は最終案の取りまとめに向けた7月のマレーシア、クアラルンプール、マニラでの協議に加え、8月1日からはオチョア官房長官も加わりダバオ市で10日間に渡る「ワークショップ」を実施。同13〜15日に再び同市で協議した後、19日からはマニラで議論を続け、20日に草案を大統領に再提出した。

 イクバル団長は31日までに「(最終案の取りまとめは)99.9%終わっている。残る課題は以前ほど深刻ではない」との見方を示し、9月の国会提出を示唆した。

 MILF側のイクバル和平交渉団長が委員長を務めるバンサモロ移行委員会(BTC)は4月22日、大統領府に法案の草案を提出した。そのまま5月の閉会前に国会に提出される予定だったが、大統領府が違憲性を問われる恐れのある一部条項を大幅に修正。これにMILF側が強く反発し、最終案をめぐる協議が遅れている。

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註:モニター記事内容は主に以下の現地報道機関のウェブサイトの記事を参考に、筆者が編集した。 

日刊『まにら新聞』(http://www.manila-shimbun.com/
Minda News(http://www.mindanews.com/) 
Daily Inquirer(http://www.inquirer.net/
Philippine Star(http://www.philstar.com/
ABS-CBN News(http://www.abs-cbnnews.com/
GMA News Online(http://www.gmanetwork.com/news/
Manila Bulletin(http://www.mb.com.ph/

モニター:大矢南(フィリピン在住)
Mindanao, August 2014 

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