April 2015: Myanmar

1) 少数民族武装組織と政府が停戦協定に向けた合意草案に同意、署名
2) 各政党、選挙候補者選出の動き
3) 教育法改正法案、議会での審議へ
4) 6者協議、開催
5) 憲法改正をめぐる各党の動き
6) テインセイン大統領アジア・アフリカ会議に参加、近隣諸国首脳と会談
7) テインセイン大統領、ASEANサミットに参加
8) ヤンゴン市内10地区で有権者名簿公表へ

1) 少数民族武装組織と政府が停戦協定に向けた合意草案に同意、署名

少数民族武装グループ代表の全土停戦調整チーム(NCCT)と政府側の代表連邦平和構築活動委員会(UPWC)が、停戦協定に向けた草案に合意、署名を行なった。

合意・署名に合わせて、共同声明も発表された。両者は2013年11月以降、7回にわたる公式会談の他、非公式会談も含め全土停戦合意に向けて協議を継続していた。今年3月中旬に開催された第7回全土停戦協定交渉会議において同草案について協議し、31日にUPWCとNCCT双方の間で合意に至り、草案をとりまとめた。今後、この草案の内容を連邦平和構築委員会と少数民族武装グループの代表それぞれからの承認を得た後、最終的な全土停戦協定(NCA)への調印を目指すこととなる。NCCT側代表のナイン・ハンター氏は「現在得られた合意は基本合意でしかなく、少数民族武装グループの各代表者の同意を得るために今後説明を行なっていく」と説明した。会談に同席したテインセイン大統領は、同国における平和構築の扉を開く第一歩となるとコメントした。UPWCとNCCT双方は、全土停戦協定に向けて引き続き共同で作業を進める方針である。

NCCTは、ワ州連合軍(UWSA)の本部があるカチン州パンサンにおいて、各少数民族武装グループ代表者による会談を来月開催する。NCCT内の計12の組織から代表者が集い、5月1日、2日にかけて合意形成を図る見通し。一方で、一部の少数民族勢力による戦闘は現在も継続しており、停戦合意実現の障害になるという指摘もある。

Democracy Today—
   Vol. 2, No. 91, April 1, 2015
   Vol. 2, No. 106, April 26, 2015
7Day Daily—
   No. 700, Apr. 1, 2015

2) 各政党、選挙候補者選出の動き

今年11月に実施予定の総選挙に向けて、各政党は候補者選びの準備段階に入った。

諸政党のなかでは、ヤカイン民族党が諸政党のなかでは最も早い4月上旬に選出作業に着手した。同党は、地域において信頼を獲得している党員や現職議員を中心に、候補者を200名以上選出した。連邦団結発展党や国民民主連盟など主な政党はそれぞれ選挙対策委員会を設置し、候補者の選出作業にあたっている。

候補者選出に関して、現与党である連邦団結発展党の中央委員会は、現職議員や退役軍人の議員らの一部は高齢であるため、次期選挙に不出馬である見通しを示した。不出馬である軍人議員らの多くはヤンゴン管区より選出されている。この空席となる選挙区については、政党党員を適宜割り当てるとして、2010年選挙のように、退官する軍人幹部や政府高官の天下り先となる可能性は低いと同党中央委員会メンバーが説明した。

7Day Daily—
   No. 701. Apr. 2, 2015
   No. 705, Apr. 6, 2015

3) 教育法改正法案、議会での審議へ

4月7日と8日に両議院において国家教育法改正法案の可決に向けた審議が行なわれた。人民代表院では、議会法案委員会が4月2日に同法案に関する報告書を既に提出しており、法案委員会のメンバーである議員らが報告書における修正案を説明した。修正案の協議のなかでは、同法改正を望む学生連合が要求した改正箇所11項目を重視し、適切なものとなるよう審議したと同委員会は発表した。

同法案は、まず民族代表院法案委員会において修正箇所が提示され、続いて連邦議会の法案委員会、そして連邦議会において審議された。修正箇所は合計131箇所にのぼり、二日間にわたり審議・可決された。審議のなかでは、学生組合の集会・組織の権利が争点の一つとなった。大学運営に関し、学校管理委員会に教職員組合と学生組合からの代表者を含めることを、教育専門家から成る教育制度改革国民ネットワーク(NNER)側は要求しているが、今回の修正案では学生組合という文言が削除された。教授陣と学生それぞれから選出された代表者を含めるという内容で承認された。

同法案の審議について、NNER側は、両議会での修正内容は先に行なわれた4者会談での合意と異なる内容であり、政府にとって都合の良い中央集権的なものであると反対を表明した。修正案では、NNERと学生団体側が提出した草案において使用された「学生組合」という文言が削除された。加えて、運営予算の五年以内の20%引上げについても、「五年以内」という表現が削除されている。このことについて、NNER側の代表は「これは単なる表現の問題ではなく、政府・議会側に[この件に関する文言を]削除しようという意志があるためだ」と非難した。

同法改正に伴い、教育基本法、高等教育法、大学法、私立教育法などの関連法の改訂についても審議をしていく必要があるため、議会における審議は今後も継続される。今後、民族代表院での審議が行なわれ、修正点について承認が得られれば可決・採択となる。上院の承認が得られない場合には、人民議会に差し戻され、再審議される。

7Day Daily—
   No. 708, Apr. 9, 2015
Democracy Today—
   Vol. 2, No. 97, Apr. 7, 2015
   Vol. 2, No. 99, Apr. 9, 2015
   Vol.2, No. 107. Apr. 27, 2015

4) 6者協議、開催

4月10日、ネーピードにおいて大統領、議会、国軍の代表者による第1回6者会議が開催された。参加者は、テインセイン大統領、国防省大臣ミンアウンフライン総司令官、国民民主連盟(NLD)議長アウンサンスーチー氏、連邦議会議長トラ・シュエマン氏、民族議院議長キンアウンミン氏、民族議院代表のエーマウン博士の6名が出席した。

第1回協議では、基本的な枠組みや目的などのほか、第2回会談の開催時期など基本的な事項について意見が交わされた。そのなかで、この6者会議の主な目的は、憲法改正、平和的かつ自由で公正な選挙の実施、そして選挙期間の秩序維持に関する協議の実施の三項目について、協議することであると参加者全員が合意した。また、第2回会談の開催については、ミャンマー暦の正月であるダジャン後、議会開催の時期に行なうことで合意した。政府側は、同会議を成功裡に終わったと評価している。

しかし、第二回会談の開催時期について少数民族勢力の代表であるエーマウン氏が懸念を表明した。憲法改正を目指す場合、総選挙の104日前にあたる7月14日までに国民投票を実施する必要がある。この場合、6月末までに憲法改正法案を可決しなければならない。以上のことを考慮すると6月15日までに第二回協議の成果を公表する必要があるため、国民投票の実施までに時間が十分にないことを同氏が4月22日に説明した。

Democracy Today—
   Vol. 2, No. 101, Apr. 11, 2015
   Vol.2, No. 103, Apr. 23, 2015
Myanmar Alin—
   Vol. 54, No. 193, Apr. 11, 2015

5) 憲法改正をめぐる各党の動き

憲法改正の議論において争点の一つとなっている第436条第1項の改正は、大統領の意見を基本とすると、連邦団結発展党の中央委員会と憲法改正委員会が発表した。同党の公式な方針については、憲法改正法案の議会への提出がまだ済んでおらず明確な言及はできないものの、上記が基本的な考えであると同委員会がコメントした。これについて同党議員のほぼ全員が合意していると考えていると同委員会メンバーのエーマウッ議員が述べた。

5月第2週に召集される議会において憲法改正法案を提出し、現会期において完了する予定である。

憲法改正の是非をめぐって、NLD議長のアウンサンスーチー氏は憲法改正を達成できなかった場合には総選挙をボイコットする可能性も捨てきれないことを4月上旬に示唆している。

7Day Daily—
No. 704, Apr. 5, 2015
No. 714, Apr. 25, 2015

6) テインセイン大統領アジア・アフリカ会議に参加、近隣諸国首脳と会談

テインセイン大統領は、4月22日から23日にかけてインドネシアにおいて開催されたアジア・アフリカ会議と60周年式典に出席した。

記念式典における演説のなかで、テインセイン大統領は第1回のバンドン会議の開催と決議に触れ、バンドン平和原則を尊重すると述べた。その上で、アジア・アフリカ諸国における秩序安定と更なる発展を目指し連携を引き続き高めていき、恒久的となるよう誓った。その後、各国首脳との個別会談も実施され、テインセイン大統領は習近平中国国家主席、バングラデシュの大統領と会談を行なった。

習近平国家主席との会談において、両国側はバンドンの平和原則に基づく二カ国の連携を促進することを確認した。その他、平和構築における連携、バングラデシュ、中国、インド、ミャンマーの経済回廊の実現、農業や工業分野における中国の支援協力について話し合いが行なわれた。さらに習近平国家主席は、中緬国境地域で生じているコーカン武装勢力と中央政府の衝突について、平和的手段による政治的解決を求めた。テインセイン大統領も、政治対談を通じて同地域における秩序構築を早急に進めると応じた。続いて行なわれたシェイク・ハシナ・バングラデシュ首相との会談では、バングラデシュ、中国、インドとミャンマーの経済回廊の実現、貿易・ビジネス分野における発展の促進、国境地帯の治安情勢と秩序の問題に関して意見交換を行なった。

Myanmar Alin—
   Vol. 54, No. 199, Apr. 23, 2015
Democracy Today—
   Vol. 2, No. 103, Apr. 23, 2015

7) テインセイン大統領、ASEANサミットに参加

4月26日から28日にかけてマレーシアのクアラルンプール。ランカウイにおいて東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開催され、経済共共同体の実現にむけて連携の強化を継続していくことが確認された。アセアンは年内の経済共同体設立を目指しており、今回の会議で採択された共同宣言における主要議題となった。また、主に南シナ海を中心としたアセアン地域における海洋紛争の早期解決にむけて引き続き協力していくことも確認された。テインセイン大統領も、自身の演説のなかで、経済共同体の実現に向けてアセアン諸国と連携して取り組み、アセアン諸国以外の関係国とも友好関係をさらに深めていくと表明した。「人を中心とした共同体」の形成を目指すアセアンとして、域内における人々の生活の安定を重視すると述べた。

Democracy Today—
   Vol. 2, No. 108, Apr. 28, 2015
Myanmar Alin—
   Vol. 54, No. 204, Apr. 28, 2015 

8) ヤンゴン市内10地区で有権者名簿公表へ

ヤンゴン管区の10地区において、他地域に先立って有権者名簿が公表された。今回発表された有権者名簿は、該当する10の地区(ボダタウン・パズンダウン・ダボン、セイッヂーカマウントー・ダゴン・セイッカン・ラタ・チャウッダダー・ランマドー・カマユッ)を対象としており、各地区委員会事務所において3月30日から4月12日(あるいは13日)まで公表されていた。ヤンゴン管区選挙管理委員会は、該当地区の住民に対し公表された名簿の内容に誤りがないかを確認するよう呼びかけた。その結果、今回公表された名簿には、記入漏れや記載ミス、死亡者の名前も含まれるなど誤りが多く、修正する必要があるとヤンゴン管区選挙管理委員会が発表した。上記の各地区において修正作業が行なわれる予定。

ヤンゴン管区には45の地区があり、全ての地区の有権者名簿の作成は6月に完了する予定である。名簿の公表後には住民自身が記載内容を確認して欲しいと同委員会は呼びかけている。全国レベルでの有権者名簿の作成は、2015年5月末に完了する。

7Day Daily—
   No. 719, Apr. 30, 2015
Democracy Today—
   Vol. 2, No. 110, April. 30. 2015

藤村瞳
APBI Monitor, April 2015, Myanmar

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