「アジア平和構築イニシアティブ(Asian Peacebuilding Initiative, APBI)」プロジェクトは、アジア各地の紛争の状況や和平の動きについて調査・分析した結果を本サイトを通じて幅広い読者に提供していきます。


地域研究や国際関係の専門家による分析記事、コメンタリーなどを掲載するとともに、現地の最新の動向も掲載していきます。当面は、フィリピン南部、タイ南部、ミャンマー、バングラデシュの4つの地域を主に取り上げます。


フィリピン南部

 フィリピン南部には、多くのイスラーム教徒が暮らしている。彼らが中心となり、先祖伝来の領域における自決権の確立を目ざして、1970年頃から武力闘争が展開されている。


タイ深南部

 マレーシアとの国境に近いタイ深南部(パッターニー県、ヤラー県、ナラーティワート県、及びソンクラー県の4つの郡)は、かつてパタニ王国の統治下にあった。しかし1909年にタイとイギリスとの交渉によって、この地域はタイの統治下に置かれることになった。この地域の住民の多くはマレー系イスラーム教徒で、タイ政府による強圧的な同化政策に不満を抱いている人が多い。2004年以降、紛争が激化し、現在も爆弾事件、襲撃事件などが続いており、2004年から現在までの死者は約6,000人に及んでいる。

 2013年から、タイ政府と反政府武装組織との間で和平対話が行われるようになり、この「対話」は現在も断続的に継続されている。対話が継続されることによって、実際に「対話」を行っている実務担当者間には一定の信頼関係が築かれつつあるが、現在もあくまで「対話」という位置付けで、正式の「交渉」を行うには至っていない。


ミャンマー

 1948年に独立して以来、ミャンマーは長期にわたり少数民族問題に悩まされ、宗教間対立も深刻化している。人口の6割強を占めるビルマ民族が中心となる体制が続いており、経済的・政治的に抑圧されやすい少数民族側の武力蜂起が起き、民主化後も根本的解決には至っていない。


バングラデシュ(チッタゴン丘陵問題)

 バングラデシュ南東部に位置するチッタゴン丘陵では、ジュマと呼ばれる約60万人のモンゴロイド系民族が、焼畑農業を営みながら暮らしてきた。バングラデシュ政府は、平野部のベンガル人をジュマの人びとが住むチッタゴン丘陵に入植させる政策をとっており、ベンガル人入植者とジュマの間で土地をめぐる争議や暴力事件が頻発している。