July 2014

1)MILFが政府修正案を批判
2)基本法案の最終結論出ず
3)国軍とMILFが交戦
4)BIFFの農園襲撃相次ぐ
5)MILF、政府に柔軟な憲法解釈求める
6)基本法案、8月に再び協議へ
7)断食明け大祭前日に女性・子ども含む23人殺害
8)タウィタウィ州に経済特区設置を検討

1)MILFが政府修正案を批判

 新自治政府「バンサモロ政府」設立の礎となるバンサモロ基本法案について、反政府武装勢力モロイスラム解放戦線(MILF)のイクバル和平交渉団長は6日、「政府側が示した修正案は、我々が示した原案の形をとどめていないほどだった」とアキノ政権の姿勢をあらためて非難した。

 基本法案は、同団長を委員長とする移行委員会が起草し、4月22日に政府に提出した。その後、大統領府の法律顧問らが、予定を大幅に上回る約2カ月をかけて内容を検討・修正。6月21日、MILF側に政府側の見解を付して提示した。
 イクバル団長は修正後の新自治政府の自治権が、現在のムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)よりもさらに限定されたものになっていると指摘。ジャファールMILF副議長(政治問題担当)も6日、「今後、国会の審議でも修正が加えられるだろうが、基本法案はできる限り修正して欲しくない」と強調した。

2)基本法案の最終結論出ず

 政府とMILFの和平交渉団は8日~11日にマレーシアの首都クアラルンプール、18日~21日および25日~27日にマニラでバンサモロ基本法案に関する会合を行った。しかし、3度の会合の後にも合意に至ることはできず、さらに協議を続けることになった。

 双方は、アキノ大統領が任期最後の施政方針演説を行う28日に同法案を国会に提出する予定であったが、協議の持ち越しにより、提出時期が遅れる可能性が高まってきた。政府は年内の国会可決、大統領の任期が終わる2016年6月の新自治政府創設を目指している。

3)国軍とMILFが交戦

 南ラナオ州マランタオ町バカヤワン村の幹線道路で11日午後4時ごろ、国軍部隊とMILFとみられる武装集団が交戦になり、国軍兵士1人、武装集団の構成員1人が死亡した。複数の負傷者も出たもよう。

 国軍の調べでは、同州マダンバ町での取材に向かう報道関係者の警護として、国軍部隊の一部がマランタオ町バカヤワン村に待機していたところ、武装集団が現れ発砲してきた。国軍側も応戦し、交戦となった。

 国軍は、交戦の原因について「国軍が現場地域にいた理由をMILF側が誤解したため」と説明。捜査を進めると共に、再発防止のため政府、MILF双方の停戦調整委員会(CCCH)と調査する方針を示した。

4)BIFFの農園襲撃相次ぐ

 コタバト、スルタンクダラト両州で13日、MILFの離脱者らで構成される、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)とみられる武装集団が相次いで農園を襲撃した。

 午前10時半ごろ、コタバト州トゥルナン町で約100人の武装集団がバナナ農園を襲撃し、重機に火を付けて破壊した。駆け付けた農園警備員や国軍兵士、警官らと交戦になり、武装集団側の構成員1人が死亡した。

 地元警察の調べでは、交戦は約4時間半、散発的に続き、農園側の援軍が駆け付けたため武装集団が撤退した。

 一方、午後3時30分ごろには同町から直線距離で約22キロ離れたスルタンクダラト州プレジデントキリノ町の農園で別の武装集団が収穫作業中の農民を襲撃、駆け付けた国軍兵士と交戦になった。

5)MILF、政府に柔軟な憲法解釈求める

 MILFは23日、政府と協議を進めているバンサモロ基本法案について、公式ウェブサイトで新たにコメントを発表した。フェレール政府側和平交渉団長が法案内容の大幅な修正について「憲法違反と捉えられる部分があったため」と説明していることに対し、「政府は非常に保守的な憲法解釈で、(基本法案の基礎である)和平枠組合意とその付属書を逸脱している」と強く非難。柔軟な憲法解釈を求めた。

 MILFはまた、「政府修正案では暴政を止め、バンサモロの人々の尊厳を回復し、明るく豊かな未来を保証することはできない。『合憲だがバンサモロの問題の解決にならない法案』は受け入れられない」と妥協しない考えを強調した。

6)基本法案、8月に再び協議へ

 デレス大統領顧問(和平問題担当)は29日、政府とMILF和平交渉団が8月1日から国内でバンサモロ基本法案に関する協議を再開すると発表した。28日の国会再開と同時に法案が提出される予定だったが、政府側の修正案をめぐり協議が難航している。

 28日の施政方針演説では、アキノ大統領が1時間半の演説のうち約2分しか和平問題に割かなかったことや、例年と異なり、最終和平の実現に向けた強いメッセージを打ち出さなかったことから、MILF関係者から一部失望の声が上がっている。

7)断食明け大祭前日に女性・子ども含む23人殺害

 スル州タリパオ町ロウワールマピッドで28日午前8時半ごろ、民間人40~50人が乗ったバン型乗用車2台を武装集団約50人が襲撃し、女性、子どもを多数含む民間人23人が死亡、9人が負傷した。翌日に控えた断食月(ラマダン)が明けることを祝うイスラム教徒の大祭に参加するため、同町中心部に向かっていたところだった。

 国軍・警察の調べでは、武装集団は同州周辺を中心に活動するアブサヤフとみられる。道路付近で待ち伏せし、車2台に向かって銃を乱射した。車には村役場関係者約10人が乗っており、国軍・警察は①村役場関係者の殺害目的②リドと呼ばれる異なる親族集団の間の対立の両面で捜査している。

8)タウィタウィ州に経済特区設置を検討

 ムスリム・ミンダナオ自治地域(ARMM)のハタマン知事が、タウィタウィ州での特別経済区設置を検討していることが分かった。知事はすでに、特区設置へ向けた作業部会の新設を指示し、同州政府に必要書類の提出を求めている。

 反政府武装勢力の活動が盛んな同自治地域の中でも、同州は比較的治安が良いとされる。豊富な海洋資源と美しいビーチが多数あり、国内格安航空大手のセブパシフィック航空も2011年末にサンボアンガ空港から定期便の運行を始めるなど、近年、観光地としての注目も高まっている。マレーシアのサバ州との貿易拠点でもあり、税制面など優遇措置のある特区設置で観光業、貿易を活発化し、域内経済を促進するのがねらい。

 先にタウィタウィ州で開かれたARMM主催の国際経済会議では、同州商工会議所とマレーシア・ビジネス協議会(サバ州)が協力関係の構築で覚書を交わした。自治地域への投資流入額は今年第一四半期に過去最大の25億ペソを記録。ハタマン知事は過去2年に投資額が急増したことに触れ「和平プロセスの好転を称賛したい」と述べた。

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註:モニター記事内容は主に以下の現地報道機関のウェブサイトの記事を参考に、筆者が編集した。 

日刊『まにら新聞』(http://www.manila-shimbun.com/
Minda News(http://www.mindanews.com/) 
Daily Inquirer(http://www.inquirer.net/
Philippine Star(http://www.philstar.com/
ABS-CBN News(http://www.abs-cbnnews.com/
GMA News Online(http://www.gmanetwork.com/news/
Manila Bulletin(http://www.mb.com.ph/

モニター:大矢南(フィリピン在住)
Mindanao, July 2014 

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